とおいきおく

うつくしいあのひとと

あめのしゅるいって
なんだろうねと

しりとりみたいなことして
あそんだきおく。

いつも気強く
気高く生きていた
あのひとが

きゅうに
みせる
嫋やかな表情

きりさめ

さみだれ

はるさめ

むらさめ

・・・

そのときの
あのひとのたたずまいは

しっとりと
うつくしく

はすの葉のうえの
ひかるたまのような

雨つゆ
そのものだった

あのひとは
いった

「あめのように
ひっそりと
ただしずかに

あいするひとと
くらしたいだけ
ただ

それだけだった」

そのときはじめて
女 としての
つよさと
よわさを 

雨露のむこうがわにうつる

そのひとに みた。